#51 名前

Dec. 10, 2009

私はたくさんの名前を持っている。

「なおこ」は海外に行くといつも「発音しにくい」と言われる。
ヨーロッパやアメリカなどでは、いつもすぐに覚えてもらえなかった。
その度に、自分の名前がもっと簡単だったらなあと思っていた。

たとえば2文字の名前はわりとすぐ覚えてもらえるから、
ずっと羨ましかった。

でもアフリカに通い始めて、自分の名前が好きになった。

アフリカでも私の名前は発音しにくく覚えにくいようだった。
そこで友人たちは

じゃあ覚えやすい名前で呼ぼう→部族の名前をつけよう

ということになった。


そういうことで、私はたくさんの名前を持っている。
異国でそこの人びとの言葉の名前で呼ばれると
なんだか自分の人生まで変わったみたいで、呼ばれるたびにわくわくする。

いつも行っているウガンダ北部の町グルでの私の名前は「アベー」。
これは「良い」とか「美しい」(すみません)の意味。
現地でラジオに出演したりしているので
町を歩いていると知らない人からも「アベー!」と声をかけられる。

最初は自分のことだとわからなかったけど
今はこの名前がとてもしっくりきている。
日本にいたらアベーと呼ばれることはないけど、
メールでいつもAberと来るので、なんだかうれしい。

ちがう名前。私だけど私じゃないような。
そこには私の知らない私がいる。ような気がする。

他にもいろいろ名前を持っています。

「アイコルニ」 場所:アルーア(ウガンダ北西部)意味:かわいい(すみません)
「アオコ」 場所:キスム(ケニア西部)意味:外で生まれた女の子
「シディ」場所:ラム島(ケニア)意味:?

などなど。


私の名前が覚えにくいおかげで、私はたくさんの名前をもらうことができた。
その名前を思うだけで、私は別の生き方を想像することができる。
幸せなことだ。

ちなみに私の息子ももうひとつ名前を持っている。
アチョリ語で「アチョリランド以外の場所で生まれたアチョリの男の子」という意味の
「オティム」という名前だ。

私のおなかの中にいる次の子はどんな名前をもらえるんだろう。
グルのアチョリの友人が「さっそく名前を考えるよ!」とはりきっていた。

息子たちが実際にその名前を使うことがなくても、
私がその名前たちを大切にしたいと思う。

ちなみに、グルでは本当に親しい友人たちは私のことを
「アベー」ではなく「アベーリ」と呼ぶ。
これに意味はない。
ただ親しみを込めて、会話の途中に、なにも用事がなくても「アベーリ」と呼ぶ。
何度も呼ぶ。
一緒に料理をしながら、草むらを歩きながら、ビールを飲みながら。

「アベーリ」と呼ばれるとちょっと甘い気分になって
本当にアチョリの娘になったような気がするから、不思議だ。


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